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公認心理師法の重要事項

公認心理師法は,2015年9月16日に公布(国民に発表)され,
2017年9月15日に施行(実際にスタート)されました。

公認心理師法は,

第一章:総則
第二章:試験
第三章:登録
第四章:義務
第五章:罰則

から構成されており,全部で五十条が定められています。

今回は,その中から重要な条文を紹介・解説していきます。


目的

公認心理師法が何のための法律なのかということについて,第一条で示されています。

第一条:
この法律は,公認心理師の資格を定めて,その業務の適正を図り,もって国民の心の健康の保持増進に寄与することを目的とする。
①公認心理師という資格を定めること
②その業務の適正を図ること
この2つの方法によって,
「国民の心の健康の保持増進に寄与すること」
が目的となります。
要心理支援者(クライエント)だけでなく,
「国民」を対象としているところがポイントです。

公認心理師の定義

第二条:
この法律において「公認心理師」とは,第二十八条(公認心理師への登録について定める条文)の登録を受け,公認心理師の名称を用いて,保健医療,福祉,教育その他の分野において,心理学に関する専門的知識及び技術をもって,次に掲げる行為を行うことを業とする者をいう。
  1.  心理に関する支援を要する者の心理状態を観察し,その結果を分析すること。
  2.  心理に関する支援を要する者に対し,その心理に関する相談に応じ,助言,指導その他の援助を行うこと。
  3.  心理に関する支援を要する者の関係者に対し,その相談に応じ,助言,指導その他の援助を行うこと。
  4.  心の健康に関する知識の普及を図るための教育及び情報の提供を行うこと。

簡単にまとめると,

・心理に関する支援を要する者(要心理支援者)をアセスメントすること。
・要心理対象者及びその関係者に対して助言・指導を行うこと。
・心の健康に関する啓蒙活動を行うこと。

となります。

次の第三条では,公認心理師の欠格事由が示されています。

第三条:
 次の各号のいずれかに該当する者は,公認心理師となることができない。
  1.  心身の故障により公認心理師の業務を適正に行うことができない者として文部科学省令・厚生労働省令で定めるもの
  2.  禁錮以上の刑に処せられ,その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して二年を経過しない者
  3.  この法律の規定その他保健医療、福祉又は教育に関する法律の規定であって政令で定めるものにより,罰金の刑に処せられ,その執行を終わり,又は執行を受けることがなくなった日から起算して二年を経過しない者
  4.  第三十二条第一項第二号又は第二項の規定により登録を取り消され,その取消しの日から起算して二年を経過しない者
 第三条の第1号について,以前は「成年被後見人又は被保佐人」とされていたことに注意してください。
2019年12月14日に,成年被後見人等の権利の制限に係る措置の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律が施行されたことに伴って,上記のように改正されました。
なお,「文部科学省令・厚生労働省令で定めるもの」とは,「精神の機能の障害により公認心理師の業務を適正に行うに当たって必要な認知,判断及び意思疎通を適切に行うことができない者」とされています。

義務・罰則

公認心理師の義務に関する規定が6つあります。
第四十条:
公認心理師は,公認心理師の信用を傷つけるような行為をしてはならない。
 信用失墜行為の禁止と言われるものです。
違法行為だけでなく,社会的な信用を失わせるような行為も含まれており,業務外の行為であっても対象となります。
また,違反した場合に,罰則はありませんが,行政処分(資格の取消または停止)の規定はあります。
第四十一条 公認心理師は,正当な理由がなく,その業務に関して知り得た人の秘密を漏らしてはならない。公認心理師でなくなった後においても,同様とする。
 次は,秘密保持義務です。
こちらは,罰則と行政処分のどちらも規定があります。
罰則は,一年以下の懲役又は三十万円以下の罰金です。
 なお,秘密保持は以下のような例外的な状況において,秘密を話すことが認められたり,必要とされたりすることがあります。
  1. 自傷・他害の危険性がある場合
  2. 法律による定め(虐待の通告義務等)がある場合
  3. 医療保険による支払いがある場合
  4. 支援に関わる専門家同士で話し合う場合
第四十二条の1:
 公認心理師は,その業務を行うに当たっては,その担当する者に対し,保健医療,福祉,教育等が密接な連携の下で総合的かつ適切に提供されるよう,これらを提供する者その他の関係者等との連携を保たなければならない。
 関係者との連携義務です。
これは,罰則及び行政処分の規定はありません。
第四十二条の2:
 公認心理師は,その業務を行うに当たって心理に関する支援を要する者に当該支援に係る主治の医師があるときは,その指示を受けなければならない。
 主治医の指示を受ける義務です。
 罰則はありませんが,行政処分の規定はあります。
第四十三条:
 公認心理師は,国民の心の健康を取り巻く環境の変化による業務の内容の変化に適応するため,第二条各号に掲げる行為に関する知識及び技能の向上に努めなければならない。
 資質向上の責務です。
 罰則及び行政処分の規定はありません。
第四十四条:
1 公認心理師でない者は,公認心理師という名称を使用してはならない。
2 前項に規定するもののほか,公認心理師でない者は,その名称中に心理師という文字を用いてはならない。
 最後に,名称の使用制限です。
 罰則(30万円以下の罰金)がありますが,行政処分の規定はありません。
 終わりに,義務と罰則の有無がややこしいため,表にまとめます。
法律 罰則 行政処分
信用失墜行為 ×
秘密保持義務
連携義務 × ×
主治医の指示を受ける義務 ×
資質向上の責務 × ×
名称の使用制限 ×

次回は,心理学の研究法についてです。こちらからどうぞ。

心理学における実証的研究法とは